地域性からストーリーを紡ぐアート

東大寺福祉療育病院(病棟の窓)

東大寺福祉療育病院の、しょち室と病棟中廊下の窓ガラスの2カ所に作品を設置

作品には、奈良の美しい植物や、古くから伝わる霊獣「花しか」のストーリーなどを展開しています。


患者様との「一人一葉ワークショップ」

 奈良、東大寺に隣接する病院の地域性やストーリーを、ホスピタルアートに込められるよう、病院の方々とアートワークを重ね完成したホスピタルアート 。奈良植生の様々な植物を柔らかいモチーフに、日差しと共に取り入れる、ガラスへのアートや、正倉院にも残る霊獣「花鹿」をメインにに展開することが決定しました。

  できるだけ多くの患者様や、医療従事者様と共同制作させていただくため、重い障がいのある患者様への取り組んでいただきやすさを考え、サポートしていただきやすい、ステンシルでの創作を計画しました。

 奈良在住のたかはしななさんによる葉や、木の実のデザインを、たくさん用意し、好きな色、好きな形を各自選んでもらいました。当日病院におられたほぼ全ての患者様に、病棟保育士様、看護師様からもご協力やご参加をいただきながら、全部で64枚の色とりどりの葉を集めさせていただきました。

陽の光がふりそそぐ、窓ガラスのアート

 

感染症対策が必要な、病棟の中廊下の窓。

   大きな窓が連続して続きますが、建物の壁面だけが見えるため、色味がすくなく、見上げる空が明るく感じられるよう、色どりのあるデザインを提案しました。ガラス窓自体は大きいのですが、下部の2/3は、保育士さんが季節の装飾に常に使うスペース。どの季節に見ても合うデザインが必要でした。ちょうど廊下から、車椅子やベッドから見上げる視線の角度と、範囲が同じであった為、太陽が半円型にふりそそいでいるような、レイアウト案ができました。設置後は「あの葉っぱ、◯◯さんと一緒に作ったね」と看護師様も愛着をもって一枚一枚見上げて下さっているようです。


作品情報

場所

東大寺福祉療育病院

2階病棟 中廊下 ガラス

タイトル

全ての葉にふりそそぐ光

制作

  • 病院の患者様と医療従事者(65名)
  • MAO(ガラスデザイン) 
  • たかはしなな(図案)
  • 廣瀬貢博(レイアウト)
  • 森本怜華(原稿作成)
  • 川西 真寿実(ディレクション)

特記事項

公益財団法人ドナルド・マクドナルドハウス・チャリティーズ・ ジャパンのボランティア活動助成金によるものです。


参加者アンケート

●全ての葉にふりそそぐ光 回答者:48名

 

良い/やや良い

病棟のガラス全体の第一印象はいかがでしたか? 82%
内容やイメージは場に合っていましたか? 86%
色の印象はいかがでしょうか? 87%
患者さんや皆様にも絵作りにたくさんご参加いただいたことはいかがでしたでしょうか? 90%
稼働中の医療環境へのアートで工夫する改善策は有効だと思われますか? 88%

※良い/やや良い/普通/やや悪い/悪い で回答

※良い/やや良い/普通/やや悪い/悪い で回答

●作品全体へのお声(抜粋)

  • 殺風景な病院の雰囲気が華やかになった。(事務)
  • 気持ちが穏やかになる。(看護師)
  • (患者さんが)「作ったよ!」と嬉しそうに話してくれた。(PT)
  • 病棟での笑い声が増えたような気がする。(事務)
  • 受付、待合室など他の部屋にも導入して欲しい!(看護師)